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泣ける物語『アダムとイヴの日記』

何度でも読んでしまい、その度に泣いてしまう、読むのが辛いような・・・でも好きで読まずにはいられぬ小説、そんな愛読書を持ってる自分は幸せ者だ

オスカー・ワイルドの『幸福な王子』なんぞは、幼少の砌より100回は読んでるだろうが毎度大泣きだ

マーク・トウェインの『アダムとイヴの日記』も、『幸福な王子』に次いで繰り返し読んでて、最期のアダムの一言で毎度泣いてしまってるのだが、むしろそのキメ台詞を承知してるからこそ、そろそろくるるる~、と思うだけで、フライングでクライングなのだ←英語で韻を踏んでみた?

よくネタバレを気にしてレビューで多くを語らずって人がいるが、そもそも1度読んでネタがバレたら2度目にそうとわかって読むとつまらん、なんて本は換言すれば何度も読む愛読書にはなり得ぬ本なのだよ、読みたい本を全部読めるほど長くはない人生において、そんな本は最初から読む必要なくってよ

その分『幸福な王子』や『アダムとイヴの日記』を繰り返し読む方が有意義だろうて

『アダムとイヴの日記』あらすじ

冒頭でまことしやかに「アダムとイヴの絵日記の粘土板が発見された」とあって、「アダムの日記」と「イヴの日記」が紹介されてる(※)が、もちろんトウェインによるフィクションだ
アダムの日記参照

本文はこれら2編の日記を装った小説で、同じ日の出来事が別々に綴られているのだが、アダムとイヴでは表現の仕方が全然違ってて、その対比が面白い

その差は男と女の捉え方の特性であり、考え方、感じ方の相違だ

アダムの日記は一言で片付ければ・・・「朴訥」、ただ内容の浅はかさのワリに居丈高なので、純朴さからくる愛らしさなどは全く見受けられんて!まあ人類初の男が勘違いの甚だしいボンクラだったというのは、とりあえず女よりは出来るつもりで男尊女卑を是認してるような男には、愚弄されてるようで憤懣やるかたなかろうが、そういう男こそをこのアダムが体現してるのだよ!!

これに対して、いや、比較するのもどうかと思えるほど、イヴの日記は詩的なのだが科学的でもあり、自然に対する好奇心や美への憧憬を綴ってて、その感情の繊細さと表現力の豊かさに心打たれるのだ、しかも何か発見しては自身で昇華させてる点は科学的で、なんて完璧な女性かと溜息を漏らさせるが、アダムと違って自身に悦に行ったりしておらずだ

そんなだからイヴは堕罪による失楽園の後に、エデンの園(神から与えられた幸福)を失ったが、アダム(幸福を与えたり分け合いたい相手)を見出し、初めて生きる目的を持てたのだ

そうしてイヴはどれほど理由もなくアダムを愛してるか、切なくて胸が張り裂けそうになるも、片や、アダムは相変わらず冴えなくってよ、一応、2人は相思相愛ではあるだろうが、イヴが積極的に愛したのに比べて、アダムはそれを仕方なく受け入れてるだけのように思えて、温度差を感じてしまうのだよね

でも最後にイヴの墓の前でアダムはこうつぶやく

たとえどこであろうと、彼女のいたところ、そこがエデンだった。

読む度にこのアダムの最後の一言で泣くのだが、解釈は毎度同じなワケでもなく

初めて読んだ時には100%イヴの悲恋に共鳴して泣けた

アダムは・・・男はそんなモノなのだろうか?神から与えられた至福のエデンを失ったら、女から与えられるエデンでも我慢するしかなく、でもそれさえも失ってしまった!そういう嘆きだとしたらイヴは報われなくて可哀想過ぎ!!

しかしアダムの気持ちを推し量れるようになった今は、アダムの喪失感に対しても涙するようになった

アダムにとってイヴは「人間として見合った幸せ」で、イヴほど情熱的に見えずとも、アダムにも彼女への深い愛情があったに違いない

仮に神からアダムだけが許しを得て、イヴと別れて1人でエデンに戻るように促されたとしても、イヴが一緒でなければきっと戻らないはず、そう思えるようになったからだ

☆追記(2015/07/25)☆

自分が所有してるのは大久保博訳の旺文社文庫で、これには挿絵も全て収録されているが、今世紀になって以来、完全版はずっと絶版状態だった、それが角川文庫から完全版として電子書籍で入手可能になった

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